時の旅・2016年(平成28年) 北海道新幹線が開業、台湾で初の女性総統、英国でEU離脱が勝利、米国TPP反対のトランプ当選、リオ五輪開催

2016年
平成28年

時の旅・2016年(平成28年) 北海道新幹線が開業、台湾で初の女性総統、英国でEU離脱が勝利、米国TPP反対のトランプ当選、リオ五輪開催

当時の日本国首相 安倍晋三(自由民主党)

 平成28年(2016年)は、安倍晋三(あべ しんぞう)内閣総理大臣(首相)の安定政権が続き、外交面でも積極性がみられた。5月に三重県で伊勢志摩サミットが開かれ、米英仏独伊加など主要国の指導者たちが勢ぞろいした。アメリカ合衆国(米国)のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、サミット後に、現職の米国大統領としては初めて原爆被爆地の広島を訪問し、原爆被爆者とも会い、広島平和記念公園に献花した。

 安倍首相は、12月に太平洋戦争の開戦の舞台となった米国ハワイの真珠湾(パールハーバー)を訪れ、日米の指導者が70年前の戦争にけじめをつけ、未来志向の日米関係を築くことを誓い合った。また、米国は共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)が当選して政権交代となったが、安倍首相は就任前のトランプに米ニューヨークまで会いに行き、関係を築いた。

 さらに安倍首相は、12月にロシア連邦のウラジミール・プーチン(Владимир Путин)大統領を安倍首相の地元である山口県長門市に招き、日露首脳会談を行い、北方領土問題と経済協力を話し合った。北方領土問題については領土返還が期待できるほどの成果はなかったが、今後の米国とロシアの関係改善を見越した日露の関係構築には一定の戦略的成果があった。

 日本の天皇制のあり方に関して、天皇陛下が8月にビデオメッセージで「おことば」を発表して、高齢の天皇の公務について重い務めを果たすことが困難になった場合どのようにすべきかを問題提起され、これを受けて、現在の終身天皇制から上皇、摂政などにより生前退位を可能にするかどうかの議論が行われるようになった。

 国内政治では、低迷する第一野党の民主党と、「維新の党」が3月に合併し、「民進党」が発足した。党首は民主党代表の岡田克也が引き継いだ。その後、7月に行われた第24回の参議院選挙の当選議席(選挙前比)では、自由民主党121(+6)、公明党25(+5)で与党が圧勝し、野党は民進党49(-15)、日本共産党14(+3)、おおさか維新の会12(+5)、日本のこころを大切にする党3(±0)、社会民主党2(-1)、生活の党と山本太郎となかまたち2(-1)、日本を元気にする党2(-1)で、結果的に民進党が維新の党との合併効果を発揮できず惨敗した一方で、野党共闘を呼びかけた共産党が議席を伸ばした。また、「おおさか維新の会」は議席を伸ばしたものの、地域名称「おおさか」が関西以外で浸透しにくく、関西以外で伸び悩んだことから8月に党名を「日本維新の会」に戻した。

 参院選敗北を受け、民進党の岡田代表は9月の代表選に不出馬となり、元民主党の蓮舫が党代表に選出された。この選挙中には、日台ハーフの蓮舫の日本と台湾(中華民国)の二重国籍残存が問題視され、蓮舫は台湾国籍の放棄手続きを行ったと強調した。「生活の党と山本太郎となかまたち」は、小沢一郎代表が12月に党名を「自由党」に変更し、保守層にも支持獲得を目指す考えを示した。

 地方政治では、舛添要一・東京都知事の政治資金私用疑惑が噴出し、辞職したことを受け、7月に東京都知事選挙が実施され、小池百合子・元衆議院議員が圧勝し、東京都初の女性知事となった。小池知事は、東京オリンピックの高すぎる会場建設費問題や、豊洲市場の土壌汚染等の問題に切り込み、過去の都政の膿をあぶり出し、都民の喝采を浴びた。

 4月に熊本県でマグニチュード6.5と7.3の強い地震が3日間のうちに続けて発生し、しかも震源が浅かったため、熊本県益城町や西原村で震度7、熊本市や南阿蘇村などでも震度6強の強い揺れを観測。住宅が倒壊し、熊本城も石垣や建物が崩れ、南阿蘇でも橋が崩れ、150人以上が死亡するなど大きな被害が発生した。 

 社会では、神奈川県相模原市の障害者施設で19人が殺害される大量殺傷事件が発生。横浜市内の病院でも点滴に異物が混入され入院患者が複数死亡する事件が発生した。また、週刊誌による芸能人の不倫や薬物などのスクープが連発した。

 交通は、3月に北海道新幹線の新青森~新函館北斗が開業し、北海道から九州まで新幹線網がつながった。青函トンネルは、標準軌の新幹線と狭軌の貨物列車がいずれも通過できる3線軌道となったが、すれ違いの衝撃緩和のため青函トンネル内は速度制限されている。北海道新幹線の開業により、並行在来線であるJR江差線の五稜郭~木古内が「道南いさりび鉄道」に移管された。このほか、1月に阪堺電軌の住吉~住吉公園が廃止、12月にJR北海道・留萌本線の留萌~増毛が廃止された。JR北海道は自社のみでは運行持続が困難な路線区間を発表し、持続可能な経営への財政支援を求めた。1月にはJR東海リニア中央新幹線の品川駅が着工された。道路交通については、2月に新東名高速道路の浜松いなさJCT~豊田東JCTが開通し、東名高速道路の混雑緩和に役立った。

 音楽は、オリコン1位~4位をAKB48「翼はいらない」「君はメロディー」「LOVE TRIP」「ハイテンション」が占め、5位と6位も乃木坂46「サヨナラの意味」「裸足でSummer」が入り、秋元康系アイドルグループの人気が続いた。また、ジャニーズの「SMAP」が独立騒動を発端に、謝罪会見、解散へと進んでしまい、年末をもって解散したが、解散を惜しむファンらがCDを買う活動を行い、「世界に一つだけの花」が年間12位にランクインした。THE ALFEEのシングル「今日のつづきが未来になる」が週間トップ10入りし、1983年の「メリーアン」以来、50作連続シングルトップ10入りの記録を達成した。桑田佳祐のシングル「ヨシ子さん」も週間2位に入り、60代男性アーティスト最高記録となった。このほか、アイドルとメタルを融合した「BABYMETAL」や、ピコ太郎「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」が海外でもヒットした。

 映画は、特撮のゴジラを現代版にして東京を襲う「シン・ゴジラ」や、新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」が大ヒットした。主題歌のRADWIMPS「前前前世」もヒットした。テレビドラマはTBS系ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」が「逃げ恥」の略称で契約結婚というストーリーが話題を呼び、主題歌の星野源「恋」に合わせてドラマ出演者が踊る「恋ダンス」も流行した。

 スポーツは、ブラジルでリオデジャネイロ・オリンピック(リオ五輪)が行われ、日本は柔道、レスリング、水泳、体操、バドミントンなどで12個の金メダルを獲得し、第6位だった。伊調馨が女子レスリングで五輪4連覇を達成し、内村航平が体操個人総合で優勝した。また、卓球も男子団体が銀メダル、福原愛をキャプテンとする女子団体でも銅メダルと健闘した。閉会式には次期東京大会への引継ぎで、日本の安倍首相が演出でマリオの格好をして登場し、話題となった。

 野球は、ペナントレースでセリーグが広島東洋カープが25年ぶりに優勝、パリーグが北海道日本ハムファイターズが優勝し、日本シリーズでは、大谷翔平投手らの活躍で日本ハムが日本一となった。大相撲は、白鵬、日馬富士、鶴竜といったモンゴル人力士が活躍する中、琴奨菊や豪栄道といった日本人力士も優勝し、底力を見せた。

 世界の動きは、台湾(中華民国)で1月に総統(大統領)選挙と立法委員(国会議員)選挙が行われ、野党・民主進歩党の蔡英文(ツァイ インウェン)が56%獲得し、与党・中国国民党の朱立倫の31%、親民党の宋楚瑜の13%を大きく引き離して当選し、8年ぶりの政権交代となった。また、国会選挙は、民主進歩党68(+28)、中国国民党35(-29)、時代力量5(+5)、親民党3(±0)、その他2(-1)となり、与党だった中国国民党が惨敗し、野党の民主進歩党が初めて過半数を制した。また、2014年の「ひまわり学生運動」を支持基盤とする新政党の時代力量が5議席を獲得し、第3勢力となった。

 5月に台湾の蔡英文総統が就任し、台湾初の女性リーダーの誕生となった。中台関係について「現状維持」を公約として当選した蔡総統は、中華人民共和国(中国)が台湾に受け入れを迫る「一つの中国」を認める「1992年合意」について、馬英九(マー インチョウ)前総統が主張していた「一中各表」(一つの中国の解釈を各自表明する)に基づく「一つの中国=中華民国」という路線を修正し、中華民国憲法と両岸人民関係条例に基づき両岸実務を処理し、「1992年会談」の歴史的事実を尊重するという立場をとり、中国との対話を呼びかけた。民主進歩党は、これまで中華人民共和国のことを「中国」と呼んでいたが、蔡総統就任後に台湾政府が国民党前政権の「中国大陸」という呼び方を踏襲したため、中台を明確に区別することを望む従来の支持者の期待を損ねた。蔡総統は外交や対中の分野で国民党系の人材を積極的に登用し、急激な変化を避け、中国に対する刺激を避けようと努めた。しかし、中国政府は「一つの中国」を認めない台湾政府との対話を一方的に打ち切り、「一つの中国」受け入れを迫った。それに対し蔡総統は、善意は変わらず、約束も変わらないが、「中国」の圧力に屈服せず、対抗の古い道にも戻らないと呼びかけた。総統選挙や立法委員選挙で共闘していた民主進歩党と時代力量は、民主進歩党が政権与党となってからは選挙公約から実際の政策がトーンダウンすることが多く、時代力量は与党を監督するブレない第3勢力として野党色を強めている。

 日台関係については、2月に発生した台湾南部地震で台南市内のマンション倒壊で大きな被害があり、日本から多くの義援金が贈られた。また、4月に九州熊本地震があり、今度は台湾からお返しに多くの義援金が贈られた。蔡総統は新しい駐日代表(大使)に京都大学に留学経験のある謝長廷・元行政院長(首相)を任命する異例の人事で、対日関係の重要性を示した。8月には蘇嘉全・立法院長(国会議長)を会長とする対日交流議連の訪問団が訪日し、日本の国会議員と交流した。また、日本側も台湾との関係を重視し、12月に駐台湾日本大使館にあたる公益財団法人「交流協会」を「日本台湾交流協会」に改名することを発表し、「台湾」との関係強化の意思を明確に示した。中国はこれに対しても抗議した。

 イギリス(英国)では6月に欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が実施された。その結果、主要メディアの事前の予測に反して離脱支持が52%を獲得し、EU離脱が決定した。EU域内の人の移動の自由という枠組みにより東ヨーロッパからの移民が流入し続けたことが英国の労働者の不満となり、英国の主体性を守るためにEU離脱が支持された。EUとの自由貿易体制が大きく後退することになるが、英国はEU各国に対する出入国管理権の回復と、関税自主権を取り戻すことができる。一方、金融に対する影響や産業面でのコスト増の影響が懸念されることから、英国のEU離脱に対するマスコミのネガティブな報道が目立った。この結果を受けて英国のデイヴィッド・キャメロン(David Cameron)首相が辞任し、保守党でEU離脱派のテリーザ・メイ(Theresa May)が首相に就任した。

 この英国の流れは米国大統領選挙にも大きな影響を与えた。予備選では民主党は、オバマ政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)と民主社会主義を主張する左派のバーニー・サンダース(Bernie Sanders)が激戦の末、ヒラリー・クリントンが正式候補となった。一方、共和党は、オバマ政権が進めたTPP(環太平洋連携協定)に反対し、不法移民の送還や、関税の強化、日本に在日米軍の駐留費を負担させる、メキシコ国境の壁を整備するなど主張する不動産王のドナルド・トランプ(Donald Trump)が予備選で独走し、公認候補となった。米マスコミは、過激な発言を繰り返すトランプに警戒し、ネガティブな報道を続けたが、トランプはマスコミ界を含む既得権益層を激しく罵り、格差や階層が固定化される社会を打破したい変化を求める労働者庶民の心をつかみ、支持を固めていった。11月の大統領選の結果、トランプは激戦州を僅差で逆転し、得票数ではクリントンが上回ったものの、州ごとの選挙人数で過半数を確保し、米大手マスコミの予測に反して当選を決めた。

 世論調査の予測が外れたことは、意見をあえて表明せず投票で意思を示した「サイレント・マジョリティー」が多くいたことを示すものであった。行き過ぎた新自由主義やグローバル化は、企業が賃金の安さばかり求めて国境を越えて移動した結果、企業利益や株主配当、役員報酬などは上がる一方で、産業空洞化と雇用の不安定化、貧富の格差拡大、中間層の没落という副作用をもたらし、反グローバル化への揺り戻しが起こっていた。トランプの主張は、サンダースを支持した労働者層をも惹きつける、既得権益層への挑戦とアメリカンドリームを失った庶民に変化の期待を抱かせるものとなった。同時に過激なトランプに対する反感も根強く、米国の国論は二分した。

 大統領に当選したトランプは、12月に蔡英文・台湾総統(President of Taiwan)からの祝賀電話を受けたことをツイッターで発表し、これに対して中国が猛反発した。しかしトランプは、米国は台湾に武器を売っているのに、台湾からの祝意の電話を受けてはいけないとは面白いと言い返し、中国が貿易取引に応じないなら「一つの中国」に縛られる必要があるのかとも発言し、「一つの中国」政策の見直しも示唆した。これに対して中国が「一つの中国」は交渉できないと強く反発する一方で、台湾は歓迎する声と対中カードに利用されるだけなら警戒が必要という両面の声がみられた。中国は台湾と国交があるアフリカのサントメプリンシペを金銭的誘惑で台湾と断交させ、台湾が米国の「一つの中国」見直しに賛同しないよう台湾に圧力をかけ、安定を重視する台湾世論に対する分断工作に出た。

 韓国(大韓民国)では、10月に朴槿恵(パク クネ/박근혜)大統領が、友人の民間人の崔順実(チェ スンシル)に国政の重大決定に関与させていたことが発覚し、機密文書漏洩や財団への資金不正拠出、財閥事業への介入、親族の不正入学、スポーツ選手育成や国民体操の利権など次々にスキャンダルが明らかになり、支持率は1ケタ台となり、辞任を求める大規模なデモが連日起こり、韓国国会は12月に朴大統領を弾劾訴追を可決し、朴大統領は職務停止となり、黄教安(ファン ギョアン)国務総理(首相)が当面代行することになった。

 また、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、1月に原爆実権と見られる人工地震があり、北朝鮮当局は水爆実験をしたと発表した。2月にも北朝鮮はミサイル発射実験を行った。さらに6月に中距離弾道ミサイルを発射。9月にも核実験を行うなど、ミサイルと核実験を立て続けに実施し、北東アジアの軍事緊張を高めた。
 
 そのほか世界は、3月にニュージーランドでユニオンジャックの入った国旗変更国民投票が行われたが、43%の賛成にとどまり否決され、現状維持とされた。米国のオバマ大統領が和解したキューバを訪問した。4月に韓国で国会選挙が行われ、与党のセヌリ党が過半数割れして敗北した。5月のフィリピン大統領選挙で、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)が当選した。7月にトルコ軍によるクーデター未遂事件が発生した。9月にIS(イスラム国)の勢力拡大で悩むシリアでアサド政権と反体制派の停戦が発効した。10月にタイ国王ラーマ9世(รัชกาลที่ ๙)が逝去し、12月にワチラーロンコーン(วชิราลงกรณ)皇太子がラーマ10世(รัชกาลที่ ๑๐)としてタイ国王に即位した。12月にドイツ・ベルリンでトラックがクリスマスマーケットに突っ込むテロ事件が発生した。藩基文(パンギムン)国連事務総長が任期満了で退任した。


(参考:Wikipediaほか)

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