中国・福建 海あり山あり、多言語社会の福建省

福建
ホッケン/Hok-kiàn (閩南語/福建語)
フッキョン/Hók-gióng (閩東語/福州語)
フゥッキエン/Fuk-kien (客家語)
フゥーチエン/Fújiàn (中国語/北京語)

中华人民共和国福建省
中華人民共和国福建省

中国・福建 海あり山あり、多言語社会の福建省

 中華人民共和国(中华人民共和国/ツォンホア レンミン コンホークオ / テョンホア ジンビン キョンホーコク)の南東部にある福建省(閩南語:ホッケン/閩東語:フッキョン/客家語:フゥッキエン/中国語:フゥーチエン)省は、人口約3600万人。

 南西に広東(クォントン/クァントン)省、北西に江西(コンシー/チャンシー)省、北に浙江省(ツェッカア/ツォーチャン)省が接している。また、離島の金門(キンムン/チンメン)、馬祖(マーズウ/マーツウ)は台湾(中華民国)によって統治されている。

 福建省は東シナ海に面している一方、各省との境は山深く、そのため海外との交流は多かったが、一方で北方からの影響力が比較的弱く、北方中国文化に同化されずに独自の文化をよく保存している。日本の昭和20年代の地理教科書にも「東シナ海に面した福建地方の人たちは、他の中国のどの地方の人々も通じないことばをもっていて」と記述されていた。その後、中国では共通語である北京語(普通話)の普及が進んだが、福建省ではそれとは別の地元言語が生き生きと使われる多言語社会となっている。

 福建省は「閩」(闽/ミン/バン)と呼ばれ、漢字に「虫」がついていることからも、もともと中央の漢人とは異民族であったことがうかがえる。戦国時代に「楚」に滅ぼされた「越」が「閩」の先住民とされる百越人と「閩越」を建国し、紀元前330年頃~紀元前110年頃に独立を保っていた。その後、漢、唐などの領域に組み込まれていくが、10世紀の五代十国時代に「閩」として独立し、王審知が閩の太祖となったが、王審知が925年に亡くなると権力争いが絶えず、945年に南唐に滅ぼされた。

 福建省は東シナ海に接していることから、海上貿易などの活動が活発であり、倭寇など海賊とのつながりも深かった。台湾に渡った福建人も多く、台湾からオランダを駆逐した鄭成功(テェ シンコン/ツェン ツェンコン)は福建泉州人と日本長崎県人とのハーフである。また、積極的に海外進出したことから、フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどに特に福建をルーツにする華人が多い。また、福建の文化は沖縄や長崎など日本にも強い影響を与えた。

 福建省の主要民族は、主に3つのグループに分かれ、最大のグループが閩南(闽南/バンラム)人である。閩南人は福建省南東部に多く住み、閩南語を話す。閩南語はシンガポールやマレーシアでは福建語(ホッケン/Hokkien)と呼ばれる。台湾の多数派民族も閩南をルーツにしており、台湾人も閩南語を話すが、「虫」の入った「閩」という字を嫌い、血縁的にも大部分が台湾の平地先住民(平埔族)の血を引いていることから福建人と同一視されることを避けるために、一般的には「台語」(台湾語)と呼び、民族的にはHo-lo語(福佬語/河洛語/ホーロー語)と呼んでいる。福建省における閩南語圏の最大都市は厦門(厦门/エームン/シアメン)であり、そのほか泉州(ツォワンチウ/チュエンツォウ)、漳州(チャンチウ/ツァンツォウ)などの都市がある。また、厦門の対岸にある金門(キンムン)島は、中華人民共和国の支配が及ばず、台湾(中華民国)によって統治されていて、かつては国共対立の最前線だった。

 次に勢力を誇るのが閩東(闽东/ミンノィン)人である。閩東人は主に福建省南東部に住み、閩東語を話す。福建省の省都である福州(フッチウ/フゥーツォウ)が閩東語圏の代表的都市であることから福州語とも呼ばれる。離島の馬祖列島も閩東語圏であるが、ここも国共対立の過程で中華人民共和国の支配が及ばず台湾(中華民国)による統治が続いている。

 第3の民族グループは閩西(ミンシー)地方の山地に住む客家(ハッカ)人で、客家語を話す。客家人は福建省西部、広東省北東部、江西省南部に主に分布しており、福建省では特に竜岩(龙岩/リンナア/リュンガム/ロンイエン)市の永定(ユンティン)には客家独特の円楼建築が残っている。また、山地に住み、貧しかった客家人は積極的に海を渡り、台湾や東南アジアに移住した歴史をもつ。

 そのほか、福建省では3つのグループのほか、北西部の閩北語、中東部の閩南語と閩東語の中間的な莆仙語を話すグループなども住む。福建省北西部の建甌(建瓯/キュィンエイ/チエンオウ)では、閩北語が話されている。建甌は古くは建安や建州と呼ばれ、福建の「建」として、閩の古都として栄えた。非漢族系の少数民族は西部にシェ族(畲族)が住んでいて、シェ族は主に客家語が話されている。また、近年は福建省以外からの流入も多く、中国語(普通話)が使われることが増えてきている。

 中華人民共和国は中国語(北京語/普通話)普及のために、福建の地元言語の文化的価値を重視してこなかったが、福建は海外華僑との交流も強く、経済的にも比較的実力があるため、郷土意識の高まりとともに、閩南語や閩東語の公共空間での復権も徐々に進みつつある。特に閩南語は台湾語と共通することから台湾とのつながりを強めるためにも重視されているようで、厦門国際空港では中国語、英語とともに閩南語によるアナウンスがあり、閩南語や閩東語によるテレビニュース、娯楽番組なども制作・放映されている。また、台湾で制作されたテレビ番組や音楽なども福建省で特に好んで視聴されている。

 福建省は山がちなので、これまで沿岸部の交通が不便であったが、近年は高速道路や高速鉄道の整備が急速に進み、福州~厦門~広東省、福州~浙江省などへの交通が非常に便利になった。また、台湾とは文化的、血縁的なつながりが深く、台湾企業も多く進出しているが、政治的理由により、これまで一度、第三地(香港、マカオ、韓国等)を経由する必要があったが、2008年以降、台湾と中国の政治・経済的接近により、両岸直行便がスタートし、厦門~台北にも直行便が飛ぶようになったほか、厦門~金門を結ぶ船も、外国人も利用できるようになり、便利になった。  


ドルジバツアー ホームページ(バックナンバー)
http://drughbatour.web.fc2.com/

にほんブログ村 旅行ブログ アジア旅行へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

テーマ : 中国
ジャンル : 海外情報

プロフィール

drughba

Author:drughba
日本国内・世界各国の行って面白かったところ、行ってみたいところ、興味深い都市、交通、地理、文化等。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード